4つの眠りタイプに応じた対策を。医師と見直す、あなたの“眠りのクセ”
- ・まずは眠りのクセから自身の眠りのタイプを把握
- ・良い睡眠のために、まず整えたいのは生活習慣と入眠環境
- ・眠りについての認識のズレをなくす「眠りのログ」をつけてみて
- ・三島先生の睡眠アドバイス
ベッドに入ってもなかなか眠れないことや、起きたときに頭や体がいまひとつすっきりとしないことはありませんか? こうした睡眠の乱れには、実は一人ひとりがもつ“眠りのクセ”が関係していることがわかっています。「自分の眠りのクセを知ることで、眠りに悩んだときに取るべき対策がわかってきます」と話す、みいクリニック代々木の三島千明院長にお話を伺いました。
まずは眠りのクセから自身の眠りのタイプを把握
ベッドの中でも考え事やスマートフォンを見て寝付けなかったり、一緒に眠っているパートナーや子どもの寝返りで目が覚めたりすることはありませんか?
「眠れない」とひとくちに言っても、理由はさまざまです。大きく分けると、眠りのクセには4つのタイプがあります。
さっそく診断してみましょう。直感で選んでみてください。眠りのクセから導かれるあなたの「眠れない原因」はどのタイプでしょうか。
前回の記事でご紹介したように、その日よく眠れたかどうかは、眠りの質や量・入眠タイミングなどから判断できますが、「よく眠れない」原因は1つではありません。だからこそ、眠れない状態をひとくくりにして捉えてしまうと、本当に眠りを妨げている要因に辿りつけなくなります。
解決するためには、具体的な「眠りのクセ」に応じた対策を行っていくことが大切です。
Aの「考え事」タイプは、寝る直前まで仕事をすることがある、悩みがあるなど、横になっても考えごとしがちなパターンです。主に入眠に課題があります。
本来は、深部体温がゆっくりと下がり、副交感神経が優位になることで自然と眠りに導かれます。しかし、このタイプは、ベッドに入ると逆に手足が熱くなり、脳の過覚醒が起きやすい傾向があります。眠る前は意識してリラックスタイムを設け、ヒートアップした脳を鎮静し、自然に眠りに入れる環境や体のコンディションをつくるとよいでしょう。
Bの「敏感」タイプは、睡眠が浅くなりやすい人に多く見られます。
自律神経の乱れや加齢によって起こることが多いと言われています。睡眠中の物音などの環境刺激に敏感になってしまう「眠りの中途課題」が起きやすい状況です。
ベッドまわりの環境を整え、入浴をリラックスタイムとして活用してしっかり体を一度温める深部体温を意識したケアをするとよいでしょう。

Cの「お疲れ」タイプは、4つの中でも特に注意が必要な眠りのクセです。たくさん寝てもすっきり起きられない、日中に強い眠気を感じてつい居眠りをしてしまう、パートナーなどにいびきをかくと指摘される。このような場合は、医療視点で言うと「熟眠障害」の状態と考えられます。
一時的なものであれば心配ありませんが、慢性的に続く場合は睡眠時無呼吸などの可能性もあります。改善しない場合は、医療機関への相談も視野に入れてください。
Dの「不規則」タイプは、現代の働く世代に最も多いタイプと言えるかもしれません。
日によって眠る時間が不規則だったり、ベッドの中でスマートフォンのライトを浴びたりすることで、体内時計がずれてしまい、「眠りたい時に眠れない」という状態に陥ります。
光を浴びることは、思っている以上に覚醒に影響します。夜はデジタルデトックスを意識して、ベッドの中でスマートフォンを見ないようにすること。また。朝は太陽の光をしっかり浴びて、乱れた体内時計をリセットすることも心掛けてみてください。
良い睡眠のために、まず整えたいのは生活習慣と入眠環境
どのタイプの人にも共通して言えるのは、まずは「よい睡眠に入るための生活習慣」を整えることが大切だという点です。そこで今回は、よい睡眠を取るための生活習慣の基本として、光で体温をコントロールする方法と、深部体温の下げ方を紹介します。
1.起床後1時間以内に朝の光を浴びる
朝起きてから1時間以内に日光を浴びると、約15時間後のメラトニンの分泌を「予約」するように体が働きます。メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、眠気を促す作用があります。
できるだけ自然光を浴びることが理想ですが、冬や雨など日差しの弱い日の場合は、照明の光でも目覚めを促す効果が期待できます。
なお、夜にスマートフォンなどの強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制され眠りのスイッチが入りにくくなりますので注意しましょう。
2.夜の入浴はベッドに入る2時間前に
よい睡眠のためには、就寝2時間前からの過ごし方が重要です。
眠る2時間前には、40℃程度のお湯に約30分浸かり体を温めましょう。その後、上がった深部体温は、約2時間かけてゆっくりと下がっていきます。そのタイミングでベッドに入ることで、自然に眠気を感じやすくなります。
また、眠る際は照明を落とす・少なくとも眠る30分前にはスマートフォンを控えるなどの工夫により、更に眠りにつきやすくなります。ナイトルーティンを整え、心地よく眠りを迎えましょう。
眠りについての認識のズレをなくす「眠りのログ」をつけてみて
――「昨日ほとんど眠れなかったのに、体は思いのほか辛くない」
――「よく寝たはずなのに、頭がすっきりしない」
このような感覚を持ったことはありませんか。
「一睡もできなかった」と感じても、脳波を調べると、脳は休んでいた、ということがあります。逆に、眠れていたと思っていても、眠りの質が悪く、脳が十分に休まっていない場合も少なくありません。これを、「睡眠状態誤認」と呼んでいます。
正確に調べるためには、脳波を測る精密検査(PSG=終夜睡眠ポリグラフ検査)が必要ですが、検査には1泊の入院が必要とハードルが高いもの。そこでおすすめしたいのが、「睡眠ジャーナル」をつけることです。

普段使っている手帳やメモに、ベッドに入った時間と、翌日起きた時間を簡単に記録し、「目覚めた時にどんな気持ちだったか」をメモしましょう。
余裕があれば、どんな夢を見たかなどもメモしておくのもおすすめです。
「眠りのログ」を取ることで、自分の感覚だけでなく、「事実(=睡眠のログ)」が見えてきます。もしも主観的に「眠れなかった」と感じていても、客観的な「眠れていた」という事実を知ることができれば、悩む必要はないこともわかります。
次回は、睡眠との向き合い方を前向きに変えるために実践できる、さまざまな事実を医学的な視点からお伝えします。
三島先生からの睡眠アドバイス
「自分の睡眠のタイプやクセを知ることが、眠りを整える第一歩です。体内時計をあるべき状態に自然に整えて脳や体を落ち着かせ“自然な眠気”を迎えましょう」

Profile
「みいクリニック代々木」院長
三島 千明先生
日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医。総合診療医。産業医。
罹患してから治療を行う西洋医学だけでなく、全身のバランスを整える未病的観点からの東洋医学的なアプローチも重視。クリニックでは小児から高齢の方まで幅広い世代のかかりつけ医としての都会型地域医療を行うほか、CBD専門外来を設け、睡眠の悩みなどへの活用法のアドバイスも行っている。
みいクリニック代々木






