よい眠りのために、できること。自分の生活を慈しむことで「眠れない」がほどけていく
- ・睡眠を記録するだけで、脳は変わり始めます
- ・脳と身体は繋がっている。日常生活を整えることが、最高のインナーケアに
- ・新しい選択肢や専門家を頼ってみるのも一案
- ・三島先生の睡眠アドバイス
前回の記事でご紹介した、4タイプの「眠りのクセ」。 あなたは、どの項目に当てはまりましたか?
4タイプに共通して言えるのは、「眠れない」「夜中に目が覚めてしまう」という状態の背景には、脳が緊張して「眠りの状態」から覚醒してしまうということがある点です。そこで今回は、脳をリラックスさせる方法をご紹介します。
自然に眠りに入るためには、脳が休める状態をつくることが大切です。そのためのセルフケアには、日常の中でできることがいくつもあります。ぜひ、ご自身に合うものから試してみてください。
睡眠を記録するだけで、脳は変わり始めます
まず、おすすめしたいのは「睡眠ログ(記録)をつけること」です。
前回の記事では睡眠日誌をつける方法をご紹介しましたが、それ以外にも、近ごろではスマートフォンのアプリやスマートウォッチなどで、睡眠時間や睡眠の深さを手軽に計測できる方法もあります。眠りのログを取って「実際の睡眠時間=脳が休めていた時間」を知ることで、ご自身の「眠れなくて辛いという感覚」が緩むこともあるでしょう。
なお、眠りのログを取る方法は、「認知行動療法(CBT-I:Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)」という心理医療の分野で用いられる技法のひとつを応用した考え方です。「認知行動療法」とは、ストレスなどで固まり、狭くなってしまった考えや行動をご自身の力でやわらかくときほぐし、自由さを取り戻すための心理療法です。自身の思考・気分・行動を客観的に観察し記録することで、ストレスの低減などを促す「セルフモニタリング」の手法を睡眠の分野に応用しています。

手書きで記すことが苦手な場合は、スマートフォンのアプリやスマートウォッチで「おおまかな眠りの傾向」を知るだけでもOKです。セルフモニタリングは、「行動を記録するだけで、無意識の修正が起こる」と言われており、睡眠ログをつけることは、不眠症や眠れなさに対する世界標準の治療法の基礎となっています。
眠りに対して問題意識や苦手意識をお持ちの方は、複雑に考えすぎず、まずは数日間、「寝起きのルーティン」として、ログを取ることを試してみてください。「思っていたよりも眠れている」という事実に気づくだけで、脳の緊張がほどけていくはずです。
最終的には数値に一喜一憂せず、自分の「起きた時の満足感」に寄り添うことが大切です。
脳と身体は繋がっている。日常生活を整えることが、最高のインナーケアに
睡眠ジャーナルで「自分の眠りの現在地」を知ることができたら、次は心身の土台を整えるステップです。 脳をリラックスさせるためには、単に「寝る前」だけを意識するのではなく、日中の過ごし方を含めた穏やかな時間の積み重ねが重要になります。

◆「腸脳相関」——食べることは、眠ること
「脳と腸は繋がっている」と言われるように、睡眠と腸内環境は双方向に影響しあいます。日々の食事による腸の調子が睡眠の質を左右し、逆に睡眠の質は腸内フローラを整えるという循環があります。 例えば、高脂肪・高糖質の食事は入眠直後に得られるとされる最も深い眠り(徐波睡眠)の質を低下させることが報告されています。「何を食べるか」という選択は、そのまま「今夜どう眠るか」という結果に直結するため、自炊の際は、消化に負担の少ない低脂肪・低糖質のメニューを意識してみてください。
◆漢方やサプリメントという選択肢も
東洋医学の知恵も、脳の興奮を鎮める助けになります。ご自身の体質や状態に合わせて選んでみましょう。 
これらは、薬局やドラッグストアでも購入可能です。迷ったら薬剤師の方に相談しながら、自分のバランスを取り戻す「お守り」として取り入れてみてもよいでしょう。
※これらを取り入れる際は、薬剤師や医師に相談し、ご自身の状態に合ったものを選ぶことが大切です。
また、 特定の機能をピンポイントで補いたい場合には、科学的根拠(エビデンス)に基づいたサプリメントの活用も選択肢の一つです。
まずは生活を整え、自分を慈しむことを改めて考えてみてはいかがでしょう。 サプリメントは『心地よい生活習慣』という土台の上に、『今の自分に何が必要か』という心身の声に合わせて、賢く取り入れてみてください。
新しい選択肢や専門家を頼ってみるのも一案

2026年4月以降、日本の医療体制においても「睡眠障害」を標榜科として専門的に掲げる医療機関が増えるように、環境整備が検討されています。睡眠に関する悩みは、「我慢するもの」ではなく、「専門家に相談できるもの」へと相談の窓口が広がっています。
私のクリニックでも、医学的な視点からのサプリメント相談や漢方による体質改善などを御相談頂いています。生活に何か影響が出ているときには、一人で抱え込まずに専門家を頼ってみてください。
三島先生からの睡眠アドバイス
「何か一つだけ改めればよい眠りが手に入るということは残念ながらありません。 生活習慣という土台の上に、自分に合った選択肢を重ねて、ご自身を慈しむ『状態』を作ってあげてください。 記録は、自分をコントロールするためではなく、自分を責めないための道具です。まずは自分の生活に『気づく』こと。整えるという選択は、そこから始まります」

PROFILE
「みいクリニック代々木」院長
三島 千明先生
日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医。総合診療医。産業医。
罹患してから治療を行う西洋医学だけでなく、全身のバランスを整える未病的観点からの東洋医学的なアプローチも重視。クリニックでは小児から高齢の方まで幅広い世代のかかりつけ医としての都会型地域医療を行うほか、CBD専門外来を設け、睡眠の悩みなどへの活用法のアドバイスも行っている。
みいクリニック代々木






