「寝よう」と頑張らなくていい。3つの条件を整えて心地よく眠れる「状態」に
- ・睡眠は、心身をすこやかに保つ究極のインナーケア
- ・質・量・タイミング。「よい睡眠」の3つの条件
- ・「睡眠」はアンコントローラブル。意識したいのは睡眠という「状態」を迎えに行くこと
- ・自分の体の声を聞き、耕すように調子を整える
- ・三島先生からの睡眠アドバイス
良質な睡眠が健康的で豊かな日々に欠かせないことは、少しずつ身近なテーマとして語られるようになってきました。その一方で、睡眠は単なる休息ではなく、心や体のコンディションを整えるための時間として捉え直されつつあります。
「睡眠は、スキンケアに高級な美容液を使うことと同じくらい、あるいはそれ以上に大切な “究極のインナーケア”の時間です」。そう語る「みいクリニック代々木」の三島千明院長に、眠る時間をより質の高いものにするための医学的観点から見たアドバイスをいただきました。
睡眠は、心身をすこやかに保つ究極のインナーケア
——「あなたは昨日、何時に寝ましたか?」
クリニックでのカウンセリング時に患者さまにそう聞くと、はっきりとお答えくださる方のほうが少数派です。自身の睡眠について「寝不足の状態」「昨日はベッドに入るのが遅かった」ということはなんとなく把握できていても、実際のところは脳は休めていない状態だったり、毎日の入眠時間を具体的に覚えていない方も多くいらっしゃいます。
最近、睡眠の質の大切さについてメディアなどでよく耳にするようになりました。とはいえ、良質かつ十分な睡眠が大切なことは理解できていても、忙しい日が続くと、つい後回しにされやすいのが睡眠時間です。

睡眠不足の状態は、単に疲れが取れないことだけでなく、健康を損なうリスク上昇にもつながります。逆に、よい睡眠を取ることで、腸内環境もよい状態に保たれる「脳腸相関」という仕組みも明らかになってきました。
また、「自分は若い」と感じている人ほど、睡眠の質が高いことがわかっています。
睡眠を「生活から切り離してオフにする時間」「長く眠れればよい」という数値上の結果として見るのではなく、食事やスキンケアの質と同じぐらい、もしくはそれ以上に大切な「究極のインナーケア時間」として、睡眠の質も上げることが大切です。
質・量・タイミング。「よい睡眠」の3つの条件
では、よい睡眠とはどんなものでしょうか。
三島先生は、「質・量・タイミング」という3つのポイントから判断していくことをおすすめしています。

「量」は、日中にしっかり動けるパワーがあるか
適切な睡眠時間には個人差があり、年齢によっても変化します。「何時間眠るか」という数字にこだわりすぎず、日中を活動的に過ごせているかを自分なりの指標にしてみましょう。
「質」は、深い睡眠と夢のサイクルがスムーズか
「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のサイクルが理想的であることが、睡眠の質にもつながります。近ごろは、睡眠時間の長さや睡眠の深さを計測してくれるスマートウォッチなども普及し、自分の眠りを客観的に把握しやすくなってきました。
「タイミング」は、睡眠時間が規則正しいリズムか
睡眠には実はタイミング(=リズム)も重要です。毎日の入眠時間が大きくばらつくのはNG。規則正しいリズムを刻むことは大切です。ただ、難しい場合は無理にベッドに入る時間を固定する必要はありません。「朝起きる時間を一定にする」ことで、夜の自然な眠りを誘いましょう。
3つのポイントがすべて自身の合格ラインであれば、「あぁ、よく寝た!」とスッキリとした朝を迎えられるはず。質・量・タイミングのすべてを「達成すべき指標」として個別に捉えるのではなく、目覚めの気分がよい状態が続いているなら、あなたの睡眠の質・量・タイミングは正解だと考えてよいでしょう。
「睡眠」はアンコントローラブル。意識したいのは睡眠という「状態」を迎えに行くこと
早くベッドに入っても目が冴えてしまったり、なかなか眠りにつけなかったときや、眠りが浅かったために疲れが取れないまま朝を迎えてしまったときなどは、一日のスタートが低調なものになりがちです。
睡眠は、部屋の電気をパチっと消すように、意志で切り替えられるものではありません。朝の光を浴びてから14〜16時間ほど経つと、脳からメラトニンというホルモンが分泌され始めます。この働きで深部体温(体の内部の温度)がゆるやかに下がることで、自然と眠りに導かれます。
だからこそ、眠れない夜に自分を責めたり、プレッシャーを感じたりするのは、穏やかな睡眠状態への導入が促されず逆効果になってしまいます。「どうしても眠れないときは、一度ベッドを出てもいい」。それくらいの気楽な気持ちで、睡眠という「状態」を迎えに行く準備を整えてあげましょう。
大切なのは、先ほどの「よい睡眠の3つの条件」が整うように意識すること。ぜひ、睡眠を「自分自身を慈しむ時間」と捉え直し、生活の中の優先順位を上げてみてください。
自分の体の声を聞き、耕すように調子を整える
「病気ではないけれど、何となく調子が悪い」という状態を「未病」と呼びます。
本格的に体調を崩すよりもずっと前の段階で、自分の体の中に豊かな土壌を耕し、健やかな状態の種まきをするように整えることが、これからの時代のウェルネスには大切な視点です。睡眠に関しても同じことが言えるでしょう。
次回の記事では、あなたの眠りの個性を知るための「眠りのクセ」についてお話しします。
自分に合った整え方を見つけることが、心地よい夜への第一歩になります。
三島先生からの睡眠アドバイス
「何時に寝たか、起きたか」に加え、「気持ちよく起きられたか、夢を見たか」なども書き足す睡眠日誌をつけてみると、自分の主観と実際の眠りのズレに気づくことがあります。まずは前向きな気持ちで、「今日、どんな気持ちで目覚めたか」に意識を向けてみてください。

Profile
「みいクリニック代々木」院長
三島 千明先生
日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医。総合診療医。産業医。
罹患してから治療を行う西洋医学だけでなく、全身のバランスを整える未病的観点からの東洋医学的なアプローチも重視。クリニックでは小児から高齢の方まで幅広い世代のかかりつけ医としての都会型地域医療を行うほか、CBD専門外来を設け、睡眠の悩みなどへの活用法のアドバイスも行っている。
みいクリニック代々木






