すぐ隣は世界。 – Healthcare on the Planet – vol.3 ザルツブルク編
- ・vol.3 ザルツブルク編
連載が3回目となる”すぐ隣は世界 - Healthcare on the Planet -”。 世界各都市の文化や食生活を通して見えてくる、世界のヘルスケアに関するトピックをご紹介します。
第3回はオーストリアの都市、ザルツブルクです。
1月27日、オーストリアのザルツブルクに降り立った。
ザルツブルク空港はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト空港とも呼ばれ、ザルツブルク出身の音楽家の名前にちなんでいる。そして今日はその誕生日でもある。
ちょうどこの時期、モーツァルト週間という音楽祭が開催され、世界中のモーツァルトファンをザルツブルクへと誘っている。コンサート会場に足を向けると、まだ小学校にも上がる前の小さな子供から、手を引かれて歩く高齢者まで、各々が着飾り集い、音楽を楽しむ姿に文化の厚みを感じずにはいられない。
健康でいることの目的は、良い音楽を耳に、美味しいワインを口に含むためである、と言われても、それがまさしく結論であると納得してしまうほどの文化の蓄積に圧倒されてしまう。
オーストリアはBIO(オーガニック)先進国である。BIOワインも多く、BIOにこだわったホテルでの滞在や農業体験が盛んだ。レストランでは本当に新鮮な肉や魚、野菜の料理が出され、なにか懐かしさを感じる味が、本来の食はこうあるべきだと教えてくれている感覚に陥る。
スパや温浴施設も豊富なのが、オーストリアの特徴でもある。大規模なクア施設やスパが保険適用で利用されている。子供を連れて楽しむ家族や若者たちから、もちろんお年寄りまでが笑顔で利用しているのが印象的である。単なるリラックスではなく、医師も常駐し診断も伴う施設も多い。
ザルツブルクから電車で1時間半南へ移動したバドガシュタインにある「ガシュタイナー・ハイルシュトレン」は鉱山の中にある坑道の中で行う坑道浴で有名だ。
40度程度の少し暖かい程度の洞窟の中で、裸で横たわっているだけで驚くほどの汗が噴き出してくる。岩石が出す放射線とラドン浴の原理で健康の効果があるそうだが、約40分ほどの坑道浴は終わったあとの爽快感と、翌日の朝、驚くほどの目覚めの良さで健康感は一気に満たされる。
オーストリアのサウナは基本的に男女が同じ空間で利用する。16歳以下が禁止のエリアは、日本人の私からすると混浴温泉以上の少し緊張感のある空間だ。しかし、段々サウナの心地よさに慣れてくると、生まれたままのこの姿がヘルスケアにとっては最も自然な状態なのかもしれないと錯覚さえ覚える。
80度のサウナの中は心地よい湿度に保たれ、熱い!という感覚はない。しかし、サウナの中の男性がおもむろに立ち上がりなにか支度を始めたと思うと、アウフグース(※)が始まり、楽しむ人達の汗が一気に吹き出るとともに、終わりには一体となって拍手で終わる。外に出ると雪の降る中で天然の池に飛び込み、なんとも言えない健康感を味わうことができる。
そう。ここは、健康感に満たされるオーストリアにいるということを満喫できる瞬間なのである。
※「アウフグース」とはドイツ語で"コーヒーなどを沸き出す"という意味で、熱せられたサウナストーンに水をかけて、蒸気を発生させ、タオルなどを利用し、ほどよい熱風をおこすことを言います。 ドイツのバーデ施設ではごく一般的に行われており、快適な熱の波とマイナスイオンを発生させて、リラクゼーション効果を高めます。






